看護師 求人の必勝法
試用期間は原則として1年で,延長することができる旨の定めがあった事案において裁判例は,「延長が許されるのは,試用期間満了時において,社員として不適格と認められるけれど,本人の今後の態度によって本採用してもよいとして試用の状態を続けていくとき,または即時不適格と判断することはできないが適格性に疑問があり,本採用することがためらわれる相当な事由があるため,なお選考の期間を必要とするときである」(Oy新聞社事件・大阪高判昭45.7.10労民集21巻4号1149頁)と判示しています。
しかも,延長する場合には,必ず期間を限ることが必要であり,期間を定めずに試用期間の延長は,何回にもわたる延長を認めるにひとしく,解雇保護規定の趣旨から到底許されないところであり,期限を定めずになされた延長は,相当な期間を超える限度において無効というべきであるといえるでしょう。
試用期間の始期は就業規則において試用期間は「3ヶ月とする]とか「6ヶ月とする」といった場合の3ヶ月の起算日,6ヶ月の起算日,つまり試用期間の始期はいつからになるのでしょうか。
一般的には,入社日がその始期になると思われますが,実際の勤務が社員の事情により,また企業の事情により入社日と異なった場合はどうなるのかですが,試用期間が正社員としての適格判定期間であるとともに教育訓練期間としての実質的期間である以上,あくまでもその始期は現実に上司の指揮命令の下におかれ勤務したときからということになるでしょう。
したがって,4月1日が入社日である企業において,試用期間の適用ある社員が入社日より肺炎を起こし1ヶ月近く入院したような場合や,企業が業務命令として自宅待機を10日間命じたときのような場合(業務命令として自宅待機を行う場合には,社員に就労請求権がないので,賃金を支払う限りは就業規則における明示の根拠なしにそのような命令を発する権限が認められることになりますが,業務命令権の濫用とされないためには,職場秩序維持の必要性が認められるなどそれ相当の事由が必要であることはいうまでもありません(Ns事件・東京高判平2.1.28労民集41巻6号980頁など))には,退院して勤務を開始した日より,また自宅待機命令が解除されて勤務を開始した日より3ヶ月とか6ヶ月の試用期間がはじまるということになります。
問題は,企業が試用期間の途中で社員を解雇した場合に訴訟となり試用期間を経過して違法解雇の判決ないし決定がなされた場合に,試用期間は終了し,本採用がなされたものとしてその者が正社員として取り扱われることになるのかです。
この点について,裁判例は,三様の判断を示しています。
すなわち,第1に,試用期間はいまだ終了しておらず,しかも試用期間はその性格から中断されることなく継続して観察する必要があるから,本採用はされておらず最初から試用期間のやり直しを認めるもの(Sa作業事件・名古屋地決昭55.8.6労民集31巻4号851頁),第2に,試用期間が違法な解雇により中断したものとして本採用はされておらず試用期間の残余期間を認めるもの(Sa作業事件・名古屋高決昭55.12.4労民集31巻6号1173頁)第3に試用期間が経過された以上試用期間は終了し本採用されたものとして正社員の地位を確認ないし保全するもの(Sy海運事件・福島地裁いわき支判昭59.3.31判時1120号133頁)があります。
試用期間は,解約権留保付の本採用契約であることからすれば,形式的には解約権が行使されないまま試用期間が経過すれば,解約権留保付ではない通常の本採用契約に自動白勺になると解することもできますが,試用期間が解約権留保付の本採用契約として判断されたのは,終身雇用制にあって定年までの保障を確認するための実質的必要性にもとづき認められたものであることからすれば,試用期間を中断するつもりで中断したのではない限り,その中断によって形式的に試用期間が経過したとしても試用期間の残余期間は試用期間として効力が認められるべきであると解するのが適当であると思われます。
試用期間の勤続通算は試用期間を勤続年数に通算するか否かは法律の制約がない限り(年次有給休暇についてはその要件たる継続勤務に通算しなければなりません),企業の自由裁量ですので,退職金や賞与等の支給資格として試用期間を通算するかどうかは自由ですが,一般的には通算しています。
本採用拒否正当な本採用拒否とは試用期間は,前掲・Mb樹脂事件最高裁判例により解約権留保付の本採用契約として理解されているわけですが,どのような場合に企業は解約権を行使し,試用期間中に解雇したり,試用期間満了により本採用を拒否したりすることができるのでしょうか。
前掲・Mb樹脂事件最高裁判例は,試用期間における「留保解約権に基づく解雇は,これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず,前者については,後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない」が,「いったん特定企業との間に一定の試用期間を付した雇用関係に入った者は,本採用,すなわち当該企業との雇傭関係の継続についての期待の下に,他企業への就職の機会と可能性を放棄したものであることに思い致すときは」,「留保解約権の行使は,解約権留保の趣旨・目的に照らして,客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解するのが相当である。
換言すれば,企業者が採用決定後における調査の結果により,または試用期間中の勤務状態等により,当初知ることができず,または知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において,そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇傭しておくのが適当でないと判断することが解約権留保の趣旨に照らして,客観的に相当であると認められる場合には,さきに留保した解約権を行使することができるが,その程度に至らない場合には,これを行使することはできないと解すべきである。」と判示しています。
したがって,企業は,学歴,職歴,年齢などを考慮に入れたうえで,その平均的社員を標準とし,また入社選考時に判定した事項は対象外としたなかで,勤務態度,協調性などの勤務適応性,能力,技術,労働能率などの職務遂行能力,身体または精神的疾患などの健康障害などについて,教育訓練してもなお正社員として定年まで雇い入れることがためらわれるという理由が認められる場合(社会通念上相当として是認できる程度の場合)や普通解雇事由が発生した場合,また入社選考時の虚偽申告が発覚した場合に解約権を行使することができるということになります。
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